こんにちは、うなちゃんです!
前回に引き続き、農家さんへのインタビューの様子をご紹介します。今回お話を聞かせてくださったのは、料育でも紹介させていただいた「岡山バナナ」の生産者「おかやまおひさまファーム」の斉藤さん。斉藤さんも「おかやま農業女子プロジェクト」の一員です。斉藤さんが、どうして岡山でバナナやマンゴーといったトロピカルフルーツを育てることになったのか……気になりますよね!早速、その時の様子をお伝えします!
今回はおかやまおひさまファームの斎藤さんにお話を伺いました!

おかやまおひさまファームの代表斎藤さんは、なんと元保育士!
お話を伺ったのは、おかやまおひさまファーム株式会社の代表者・斎藤さん。有機国産バナナをはじめとしたフルーツや、そのフルーツを使った加工品を作っています。
―斎藤さんの農場ではどんなものを作っているのですか?

パパイヤが文字通り、鈴なり!
うちは南国フルーツを作っています。バナナ、マンゴー、パパイヤ、アボカド、パイナップル、そしてコーヒーなどです。
―ありがとうございます
農業を始めたきっかけをおしえてください!
近所でバナナを育てていらっしゃる方がいて、そこを見学させていただいた時に「面白そうだな」と思ったことがきっかけで、バナナを育て始めました。
バナナがなっている様子を子どもたちが見たら喜ぶだろうと思って。またその方がコーヒーを一緒に栽培していたので、コーヒーの栽培も始めました。バナナの栽培について教えてもらえる先生がいなかったため、海外のYouTubeを参考にしてみたところ、バナナの木の下でコーヒーを栽培している国がたくさんあり、一緒に栽培することでメリットがあるのだろうと思います。

バナナが木になっている様子を見て「子どもが見たら喜びそう」という発想がさすが元保育士さん!
―「混植栽培」というやつですね!バナナとコーヒーが相性が良いとは驚きです。
農業をやっていて、やりがいを感じる瞬間、また一番大変だった事を教えてください。

バナナの木の下にはコーヒーの木が植えられています
仕事が終わり、収穫物を見たときに「今日これだけやったな〜」と、大きな達成感を感じます。いちばん大変だったのは、数か月前に突風でハウスが飛ばされたときです。中のものは無事でしたが、ビニールハウスの屋根が飛び、骨組みが倒れてしまったため、修理が大変でした。
-育てるうえで特に気を付けていることはありますか?

カエルちゃんも共に農業を手伝ってくれる仲間!蛇に食べられちゃうけれど・・・
トロピカルフルーツの多くは輸入品であり、農薬や消毒の問題が気になります。日本でトロピカルフルーツ作りに挑戦するのであれば、農薬などを一切使わず、安心・安全な果物を作りたいと思っています。
ただ、そうすると害虫も来ますし、草がたくさん生えて荒れてしまうため、そこには気を使って作業しています。草取りは手作業で行い、害虫対策にはカエルが活躍してくれます。バナナの葉を食べるヨトウムシを、カエルが食べてくれるのです。そのカエルを食べにヘビもたくさん集まり、人間もびっくりしてしまうんですけどね。
―こだわって作った作物の味の特徴はありますか?
皆さん「味が濃い、美味しい!」と言ってくださるので、そう言われると とてもうれしいです。
おひさまファームさんの代表商品、バナナについて教えてください!

―バナナの収穫量について教えてください
だいたい1本の木から採れるバナナは20〜30キロで、本数にすると150本から250本です。夏は、多い日で1日に100キロほど収穫します。冬は1週間で20キロほどですが、暑い時期はたくさんのバナナを収穫できています。
―バナナを甘く美味しくするための工夫とかはありますか?
そうですね…。バナナは青い状態で収穫して「室」という場所で1週間追熟するのですが、その温度管理次第で甘さが増します。うちでは、だいたい20度の室に1週間入れています。バナナの皮に黒い点々がポツポツと出てきますが、それが「シュガースポット」といって、甘くなった印です。シュガースポットが出てからが食べ頃です。
―バナナのおすすめの食べ方はありますか?

私はシュガースポットが出てから食べるようにしています。残った場合は、ラップに包んで冷凍庫に入れ、冷凍バナナにします。そのまま食べてもいいですが、スムージーにするのがおすすめです。
―1年中スーパーで手に入るバナナですが、旬はありますか?
特に旬というものはありません。南国フルーツなので夏のイメージがありますが、私は冬のバナナをおすすめします。夏は花が咲いてから2か月ほどで収穫できますが、冬は花が咲いてから食べられるまでに4か月かかるため、その間にどんどんおいしさが詰まっていくので、冬のバナナがおすすめです。
―保存方法にコツなどはありますか?
夏は1〜2日で完熟してしまうため、暑い時期は冷蔵庫での保存をおすすめします。冷蔵庫に入れると皮が黒くなってしまいますが、中身は問題なく食べられるので、冷蔵庫で保存してください。
反対に冬は、できるだけ温かい場所で保存していただければ、おいしくなっていくと思います。
―皮まで食べられるんですよね?
食べられますけど……おいしいものではないので、皮はむいて食べたほうがおいしいと思います。農薬を使っていないので「皮ごと食べても安心・安全」と言われることもありますが、中身だけのほうが断然おいしいと思います! 食べはしませんが、うちでは皮を畑の肥料として活用しています。
―バナナの葉の活用法はありますか?
葉は肥料にしたり…、日本人にはなじみがありませんが、外国の方に「調理に使うので譲ってほしい」と言われることもあります。バナナの葉で魚や鶏肉などを包んで蒸し焼きにすると、おいしいそうです。
コーヒーについて聞かせてください!
-コーヒーについてお聞きします。コーヒーの木は植えてから収穫までどれくらい時間がかかるのですか?また、1本の木からどれくらい収穫できるのでしょうか?

まとまった量が収穫できるのは、だいたい5年くらいからでしょうか。1年目はコーヒーが10杯くらいしか採れなくて…それが2年目になったら30杯くらい採れるようになりました。今、6~7年目で1本の木からだいたい560杯分ほど採れるようになりました。これから20年くらいはどんどん成長していくので、楽しみです。
-ご自分で育てられた豆で淹れたコーヒーを初めて飲んだ時の感想を教えてください
普通にコーヒーでした 笑。私はコーヒー通ではないのでわからないのですが、その時は普通に飲めるコーヒーができて良かったなと思いました。酸味も少なく、雑味も少なく、苦味も少ないという・・・特筆すべき特徴がなくて、通の方には「物足りない」と言われます。でも私は今までコーヒーにはミルクや砂糖を入れて飲んでいたのですが、これはブラックで飲めるんです。そういうサラっと飲みやすいコーヒーに仕上がったと思っています。
-おかやまおひさまファームさんのSNSで見かけたのですが、「コーヒーチェリー」とは何ですか?

これがコーヒーチェリー!
コーヒーチェリーというのはコーヒーの実です。コーヒーの実は赤く、その中の種の部分を取り出し焙煎してコーヒーとして飲んでいます。その赤い果肉の部分はチェリーと言われるだけあって甘酸っぱい味がします。果肉の部分は傷みやすいため食べられるのは3日間ほどなので、見つけて食べることができたらすごくラッキーですよ。
パイナップルについても聞いてみましょう!
-次はパイナップルについてお聞かせください。まず完熟の見極め方を教えてください

パイナップルのお尻の部分に鼻を近づけたときに、甘い香りが強く感じられるようになったら食べ頃です。縦に4つに切って硬い皮を取り除いて食べますが、真ん中の部分が美味しいですね。スイカなどと同じで、中心に近いほど美味しいです。また、パイナップルは時間が経つと少し透明感が出てくると思いますが、時間の経過とともに酸味が和らぐため、糖度は変わらなくても甘く感じるようになります。
-おかやまおひさまファームさんのSNSで見かけて気になっていたのですが、パイナップルの葉っぱから、パイナップルを育てることが出来るって本当ですか?
普通に買ってきたパイナップルの頭、つまり葉を切り落とし、その葉の下の方をむいて水に入れておくと根が生えてくるので、それを土に植え替えるとパイナップルが育ちますよ。うちでは、イベントなどでパイナップルの実の下から出てきた子株を販売していますが、それも育てるとパイナップルになるんです。
-おすすめの保存方法はありますか?
パイナップルは冷蔵庫に入れない方がいいと思います。夏でも入れなくて大丈夫です。(カットしていないもの)
おかやまおひさまファームさんの加工品について聞かせてください

バナナを使った商品だけでなく、様々な商品をつくられています!
-加工品を作るにあたってのこだわりはありますか?
基本的には、添加物をできるだけ使わずに作りたいと思っています。うちのバナナを使ってくれているホテルのレストランのシェフにレシピの相談をしたり、一緒に商品を開発したりしています。今一番おすすめしたいのは「桃コーラ」です。砂糖の代わりにバナナを使ったコーラを作っているのですが、現在は桃版を開発中なので、ぜひ飲んでみてください。
「農業」について聞いてみました!
-おかやま農業女子について聞かせてください
農業女子に加わっているメンバーの皆さんは、意識の高い方が多いと感じています。それぞれ作っているものは違いますが、やはり最後まで使いたいという思いから、生もの以外にも加工品を作ることが多いです。それをどうすれば売れるのか、といった話をすることも多いですね。マルシェを一緒に開催したり、販売に関して相談し合ったりして、切磋琢磨しながら頑張れる仲間です。困ったことがあっても相談できますし、本当にいい仲間に恵まれていると思います。
-次に紹介してくれるとしたら、どなたがいらっしゃいますか?
はい、コアラファームさんですね。お米を作っている農家さんです。米農家さんなのでお米を作られていますが、お餅がとても美味しいのでおすすめです。出張お餅つきもしてくれますし、バターの入ったバター餅がおすすめです。ちょっと焼いてお醤油つけて食べると最高ですよ!
-今感じている今後の農業の課題などをお聞かせください
私自身もそろそろ体力的にしんどくなってきたので、どなたか「農園をやりたい」と言ってくれる人がいたら嬉しいです。特に、若い人たちが農業に興味を持ってくれることが必要なのではないかと思っています。今住んでいる地域はブドウや桃の産地ですが、高齢になって後継ぎがいないために辞められる農家さんが多いんです。だからこそ、農業をやりたいという人を見つけたり、育てたりしていくことが大切だと感じています。
-斎藤さんの感じる農業の魅力を教えてください
やっぱり、土に触ることの安心感ですかね。土を触っていると心が落ち着きます。子どものころから土だんごを作ったり、土を触るのが好きだったので、土に触れる仕事をするのは心が落ち着きます。
-おひさまファームさんは後継者はいらっしゃるのですか?
一緒に働いているスタッフもみんな高齢になってきているので、公募して農業をやりたい人を探したいと思っています。農業は、おそらく一般的な企業に勤めるよりも賃金がかなり低く、それが若い人がなかなか集まらない理由の一つだと思います。そのため、「どうしたら儲かる農業ができるのか」を考えることは重要な課題だと思います。もちろん、行政などにも力を入れてもらえたらと思います。
-今後はどんな農業をしていきたいですか?
もうすでに始めているのですが、私が初めて日本でバナナの木を見たとき、とても感動したんです。その感動を多くの人にも体験してほしいと思い、オープンファーム(農園内の見学やマルシェでお買い物ができるイベント)を開催しています。たくさんのお客様に農園に来ていただき、バナナやパイナップルがなっている様子など、日本ではなかなか見ることができない光景を体験してもらい、フルーツについて知ってもらえたら嬉しいです。岡山でフルーツといえば、やはり桃やぶどうを思い浮かべる方が多いと思いますが、トロピカルフルーツを育てている農園もあるということを知っていただきたいと思っています。
-斉藤さん たくさんのお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

POP制作のためにポーズをとっていただきました・・・本当にありがとうございます!
おかやまおひさまファーム


