【直撃インタビュー】鶏のハッピーのためにうちは「男女共学」なんです。素敵な笑顔に出会える養鶏場 “卵娘庵”


直売所におじゃましてきました!
昨年、一度お話を聞かせていただいた「鶏ファースト」で、こだわりの卵を作っている“卵娘庵”さん。この度、なんとお邪魔させていただけることになりました!早速行って、さらに詳しくお話を聞かせていただきましたよ!

株式会社卵娘庵の藤井さんは、ご主人の実家が農家だったことがきっかけで農業を始めたそうです。本人の意思というより家の事情で引き継いだ形ですが、現在は生産者として食べ物を作ることに大きなやりがいを感じており、特に「おいしい」と言ってもらえることや、消費者の健康に貢献できるという使命感が仕事の原動力になっているそうです。

使命感あふれる卵屋さんの「こだわり」…気になりますよね!

卵娘庵さんが生産しているのは…

-卵娘庵さんで生産している主な商品を教えてください

主な商品は平地平飼いの卵です。そのほか、プリン、せんべい、卵ボーロ、カステラなどのお菓子や、成長した親鳥を原料にした炭火焼き鳥などの惣菜も手掛けています。プリンは工房で製造していますが、それ以外の商品は専門の業者に材料を渡して作ってもらっています
-卵娘庵さんの卵のおすすめの食べ方を教えて下さい

やはり卵かけご飯がおすすめです。ご飯に先にしょうゆをかけ、その上に卵をのせると、卵本来の味がよくわかります。ゆで卵は白身のプリプリ感と黄身の濃厚さが楽しめますし、ふわふわのオムライスも卵の味の違いを感じられます。新鮮な卵だからこそできる手作りマヨネーズもおすすめなので、作り方をイベントなどでお伝えできたらと思っています

イチオシの食べ方、卵かけご飯!見てくださいこの白身の盛り上がりっぷりを!

卵娘庵さんの卵を使って家で作ってみたプリン。「週5、いや毎日食べたい!」と家族からも大好評

「こだわり」の育て方で変わってくる卵の味

-卵娘庵さんのこだわり「平飼い」についてお話を聞かせてください
一般的にはケージ飼いが90%以上を占めていますが、うちは平飼養鶏を採用しています。鶏を日光に当て、砂浴びや運動ができる環境でストレスを減らして育てることで、健康で免疫力のある鶏が産む卵をお客様にお届けできると考えています。同じ飼料でも、平飼いにすることで臭みが少なく味のよい卵になるんですよ
-卵作りで大切にしていることはありますか
私自身、料理をする主婦であり母でもある視点で卵作りをしています。消費者が買いやすい価格帯に抑えることも大切にしています
-一般的な卵との違いはどこにありますか
殻の丈夫さや重さ、割ったときの黄身のこんもり感や濃厚さ、白身の臭みのなさや甘みなど、見た目も味も違います。スーパーでは価格や殻の色で選ばれがちですが、安価な卵は効率重視で大量生産されているものです。どんな生産者が、どんな思いで作っているのかを見て選んでほしいと思っています。
-卵娘庵さんの卵は他のお店でも楽しめるそうですね
はい。お寿司屋さんやケーキ屋さん、焼肉屋さんなどで使っていただいていて、温玉ご飯やスープなどで楽しめます。紹介しきれないほど多くのお店で使ってもらっています。

藤井さんは卵のほかにスマイルもゼロ円で提供している!?


お話を聞いているこちらもついつい笑顔になってしまう藤井さんのハッピーオーラ!
-藤井さんは周りからどんな人だと言われますか?
『天然』『明るい』『笑顔が多い』『よくしゃべる』と言われることが多いですね。たとえ自分が落ち込んでいても、表情や対応は明るく保ち、笑顔を絶やさないことで、周りにもハッピーオーラを届けられたらいいなと思っています。

一生懸命でまじめな性格でもあるので、その働きぶりが時には周りに“ウザい”と受け取られることもあるかもしれません。家庭では母親として子どもを育てた経験があり、その視点が今の仕事にも影響しています。飼育している鶏たちにも、母親のような愛情をもって接しています。

ホントは鳥が苦手だったんです・・・
事務作業が多い仕事ですが、接客が好きなのでお客様との会話も楽しんでいます。実は以前は、写真を見るのも怖いほど鳥が苦手だったのですが、今ではだいぶ克服できました

-このお仕事を続けてこられた理由は何ですか?
もちろん家業という側面もありますが、『農業女子』として活動を始めてから、自分が作る意味とその重要性を強く感じるようになりました。

安さだけを追求するのではなく、鶏の健康やアニマルウェルフェアを重視しています。病気などで鶏が大量に処分される事態を減らすためにも、平飼いの普及が必要だと感じています。

平飼いでは鶏が日光を浴びながら過ごすことができ、赤いトサカや元気な状態を保ちやすいのが特徴です。一方、ケージ飼いは効率化とコスト面で有利で、安い卵を多く生産できますが、暗い環境で育つことで鶏が弱くなり、栄養状態など健康に悪影響が出ることもあります。

だからこそ、私は平飼いなど鶏のことを考えた生産を続け、次の世代につなげていきたいと思っています

卵娘庵さんの鶏さんたちの生活環境はこんな感じ!

-この土地で養鶏を始めたのはどうしてですか?

のどかです!
井原市芳井町にあった夫の実家の卵屋の設備を使い、養鶏を引き継ぎました。岡山県は卵の生産量が全国3位なんですよ。自然環境が良いので、鶏の飼育に適しているのだと思います。

現在は5,000羽弱の鶏を飼育しています。今後は利用可能な敷地を最大限に活かし、井原の魅力を発信しながら生産規模の整備も進めていく予定です

-オスとメスの割合ってどのくらいになるのですか?
オスは全体の約1割です。一般的な養鶏は“女子校”のようにメスだけのことが多いのですが、うちは“男女共学”なんです。

オスがいると有精卵の割合は高くなりますが、もともと有精卵を作るために入れているわけではありません。群れを安定させるために入れています。

メスだけだと、その中にボスのような存在が現れて争いが起きやすくなるのですが、オスを1羽入れるだけで群れが落ち着き、騒ぎが収まることもあります。とても良い影響力があるので、結果的に飼育管理もしやすくなることが多いんです。
-鶏にも性格の違いはありますか?
もちろんあります。同じ場所にいても行動はそれぞれ違いますし、他の鶏のエサを横取りしてばかりいる子もいます。みんな個性豊かですよ!
-鶏を育てていて、発見したことはありますか?
鶏が『クシュッ』とくしゃみをするのを聞いたときは驚きました。でも、次の日には治っていることが多く、鼻水や風邪のような症状が出ても薬を与えなくても自然に回復しているんです。うちの鶏には病気に対する力や免疫力がしっかりあるのだと感じました。

鶏だってくしゃみもすれば、けんかもします
夏になると羽を広げて風を取り入れ、涼をとる様子も見られます。こうした行動を観察するのも発見のひとつですね。

また、オスとメスはトサカや体の大きさで見分けることができ、オスはメスの倍ほど大きくなることもあります。『コケコッコー』と鳴くのはオスで、メスはあまり鳴きませんが、卵を産んだときに『コケー』と鳴いて教えてくれることがありますよ

-地域の農家さんやご近所の方との交流はありますか?
山の上に住んでいるため、地元の方との交流はあいさつ程度ですが、地域とのつながりはあります。井原の特産品として、ふるさと納税に卵や肉のセットを提供しています。

最近は定期便として毎月卵を送る形のふるさと納税の利用が増えていて、『井原=卵』という認識が高まりつつあると感じています。

卵娘庵さんでのお仕事はこんな感じ!

-卵娘庵さんのスタッフについて教えてください
職場は夫と農場長の男性2名、女性が8名で、鶏たちと同じように女子率が高めです。動物や鳥に関わる仕事を希望して来た人や、子育てをしながら近くで働きたい人が集まっています。

学校行事を優先してほしいと伝えていることが、働きやすさにもつながっていると思います
-農業の中でも養鶏の魅力というのはありますか?
鶏の飼育は、牛や豚に比べて力仕事が少ないことですね。牛や豚は体が大きく、扱うのに力が必要ですが、鶏はその点で負担が少ないです。

個体に愛着を持って関わることができるうえ、体力的なハードルが低いので、畜産の中でも養鶏は女性に向いていると思います。
-卵が産まれてからお店に並ぶまでには、どんな作業がありますか?
卵は産まれてから洗卵とパック詰めを行い、流通します。通常は産卵の翌日に洗卵・パック詰めを行い、早ければ翌々日には店頭に並びます。

私の仕事は朝早くから始まります。最近は取引先との打ち合わせや部署間ミーティングも増え、農場へ行く日が以前より減りました。販売をメインにお仕事しています。

卵を拾う作業は単なる回収ではなく、鶏を観察しながら行うため、産卵状況や体調の異常を把握する大切な時間です。割れの検知や選別は一般的には機械で行われますが、私たちは機械任せにせず、スタッフがひとつずつ手に取り、音や見た目で異常がないか丁寧に確認しています。

-卸し先のこだわりはありますか?
たちは卵を『製造品』ではなく『鶏の恵み』として売りたいと考えています。通常、卵は加工品扱いでグロサリー売り場に並びますが、産直コーナーや野菜売り場の近くに置いてくれるお店を探しています。

消費者の皆さんにも、『鶏の恵み』として食べてほしいと思っています。

-養鶏場の公開はしているのですか?
養鶏場は通常、鳥インフルエンザなど感染症対策のため原則非公開です。社員であっても通常業務以外では立ち入りができません。

バイヤーの方から取引開始時に農場を見せてほしいと要望があれば受け入れる場合もありますが、基本的には外から見学してもらう形をとっています。

来訪者からは『鶏がのびのびしているから良い卵が産まれるのですね』という感想をいただくことがあります。将来的には食育の観点から見学を受け入れ、温かい卵に触れる体験も提供したいと考えています。

-卵娘庵さんを知ってもらうために、どのような取り組みをしていますか?
地域や団体と連携して活動を広げる取り組みを行っています。農林水産省の『農業女子プロジェクト』や、岡山の地域版である『岡山農業女子』に参加しており、個人だけでなくグループや団体として活動を見せることで関心を持ってもらえるよう意識しています。

また、畜産分野でも『畜産女子』などのグループに参加することが大きな一歩だと考えているので、今後はそうした団体にも積極的に関わっていきたいと思っています。

自分自身の思いや、生産している卵の特徴を発信していく必要性も感じています。ただ、現状は情報発信に十分な時間を割けていないため、これからは発信を強化し、自分の活動や商品の魅力を広く伝えていきたいと考えています

食べるものへの意識を高めてほしい、それが私たちの思いです

-最後に伺います。今後挑戦したい事、次世代に伝えたいことはありますか?

藤井さん、ありがとうございました!
食育を通じて、卵や畜産の背景にあるアニマルウェルフェアや生産者の思いを伝えていきたいと考えています。そのために、食と農をつなげる取り組みを進めていきたいです。

また、卵かけご飯などの体験型プログラムを実施し、実際に農場に来てもらって現場で学べる機会を提供することも目標にしています

次の世代に伝えたいこととして、まず「食べるものへの意識を高めてほしい」です。便利で簡単な加工食品が増える中、特に家庭で食事を用意する母親たちには、食材や栄養、添加物などについての知識を持ってほしいと考えています。病気などの体調の変化も日頃食べているものと関係していることを理解してほしいといいます。

また、原材料表示を確認する習慣をつけ、できるだけ素材を生かした自然な食品を選んでほしいという思いも強くあります。そのためには、子どもの頃から食べ物の成り立ちを教えることが大切だと感じています。
例えば、魚が切り身のまま泳いでいるわけではないことや、卵がどのように生まれるのかを学ぶことで、食べ物への感謝や理解を育ててほしいです。

藤井さん、ありがとうございました!

※アニマルウェルフェア(Animal Welfare)とは、感受性を持つ生き物としての家畜に対し、誕生から死を迎えるまでの間のストレスをできる限り少なくし、行動要求が満たされた、健康的な環境を提供するという考え方です

卵娘庵さんHP

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